逆転現象

「カロル、何を見てるんです?」
「ん? あ、これだよ」
「写真、です?」
「なんか、ずいぶん古いわねー」
「そりゃ、15年くらい昔のらしいから」
「15年前?」
「そうだよ。ハンクスさんに借りたんだ」
「下町……って、じゃあこの写ってる子どもふたりって」
「ユーリとフレン、ですね」
「らしいよ。なんかボクより小さいユーリたちってなんか変な感じ」
「そりゃ、誰にだって子どもの頃くらいあるんだから当たり前でしょ。……ていうかエステル、何写真凝視してんの」
「……い、です」
「は?」
「可愛いです……! ユーリもフレンも、すっごく可愛いです!」
「……あー、まあそりゃ、小さいし? でも泥だらけよ?」
「それがなんだか逆によく見えるんです!」
「エ、エステル……」
「この頃のユーリとフレンに会ってみたかったです……」
「ってエステル、この頃まだ物心もついてないでしょ!」
「でもほんと、可愛いよね。あのハンクスさんの顔が緩んでたもん」
「それは子どもか孫扱いしてるだけだろ」
「そうかなぁ〜……って、ユーリ!?」
「ったく、あのじーさんはロクなことしねえな」
「あ、あの、ユーリ、この写真のこと覚えてます?」
「ん? ああ、覚えてるぜ。確かフレンの無茶に付き合って泥だらけになったんだったか」
「……ちょっと待って」
「なんだよ」
「今聞き捨てならないセリフが聞こえたわ」
「なんか言ったか、俺?」
「フレンの無茶に付き合って、って言ったじゃない。おかしいわ」
「どっかおかしいか?」
「おかしくないわけないでしょ! 無茶したのがあんたじゃなくて、あのカタブツ騎士だってとこに無理があんのよ!」
「リタ、あの、フレンだってこんな小さい頃から騎士だったわけじゃ」
「ま、確かに今のあいつ見てりゃそうかもな。でもガキの頃は、あいつのほうが無茶して突っ走ってたんだよ。正義感のカタマリで頑固なカタブツってのはそのまんまだけど」
「……ない、わけでもない、んですね……」
「……でもなんかどっかで聞いたような感じよね」
「うん、ボクもそう思う。……て言うよりさ、リタ、どっかで聞いたとかじゃなくて目の前にいるんだと思うよ」
「……あんたに気づかされたってのが癪だけど、確かにそうだわ」
「ユーリも正義感が強くて、ちょっと頑固です」
「つまり、子どもの頃のフレンが今のユーリで、子どもの頃のユーリが今のフレンてことね」
「……なんだか想像がつきそうなんだけど、ぜんっぜんつかないね」
「おーい、お前ら何いきなり内緒話始めてんだー?」
「とりあえず、どうやったらここまで見事な逆転現象が起こるのか、その原理を解明したいわ」
「あの、リタ? ユーリとフレンで実験したりしないでくださいね……?」
「ダメだよエステル、こうなったらもうリタには聞こえてないから」
「……俺の存在、無視かよ」

子どもの頃の二人が見てみたい!
[2008.10.16/2008.11.24 log]

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