少しばかり元気をなくしていた彼だけれど、その話をするときだけは元の明るさを取り戻す。
だからエアリスは、ザックスがその話をするのが大好きだ。その空と同じ瞳がきらきら輝きながら、子どもみたいに楽しそうに力いっぱい話してくれる。その顔を見ていることが、それはそれは心地いい。
「すっごくやさしくて可愛い顔してるくせにさ、やるときゃがっつりやるし。でもそうかと思えば、乗り物ダメでヘリから降りてふらふらしてたりするし」
「へぇ、可愛いね」
「だろ? もう、見てて飽きないんだ。エアリスにも会わせたいな」
からからと笑う顔は、本当に素敵だ。今のところ、ザックスの明るさをわずかにでも取り戻してくれるのはこの"できたばかりの年下の親友"の話題だけ。失うことの悲しみも苦しみも、それが一緒に連れてくる、ずるずると続くつらさも知っているエアリスだけれど、どうやったらその悲しみだとか苦しみだとかつらさだとかが癒されるのかは、エアリスにはわからなかった。ただ、エアリスは実母を失った時に今のお母さんがそばにいてくれて、エアリスのまとまらない(そして大して数もない)思い出話を楽しそうに聞いてくれた。それを覚えているから、エアリスもまた彼の話をその近くで聞いていようと思ったにすぎない。
こんな時、きっと慰めの言葉は何の役にも立たないのだろうと、エアリスは気付いている。
「なんか、ソルジャー目指してるらしくてさ。その理由とか聞いてもはぐらかされて教えてくれないけど……あれはきっと、故郷に可愛い子とかいるんだな。うん、間違いない」
「勝手に決め付けて、怒られても知らないよ?」
「だーいじょうぶ。あいつの前では絶対口滑らせたりしないから」
「そんなこと言って。ザックスって、うっかりそういうの、言っちゃいそうな気がする」
うわぁ失礼だなと言って少しむくれた顔が、子どもみたいで可愛い。
「……ま、それはいいとしてもさ。ただあいつ、ソルジャーになれたらきっと強くていいソルジャーになるぜ」
少しばかり遠い目をして、彼は言った。声はとても穏やかだった。けれどそれがまたさみしそうに見えて、心臓を鷲掴みにされたみたいに切なくなる。
だから、エアリスは茶化してごまかすのだ。
「あ。話、逸らした」
「それ言うなよー、エアリスー」
途端に情けない声を上げるザックスを、エアリスはだって本当のことだものと言って笑ってやる。
さみしげな彼を見るのがつらいなんて、そんなの自分勝手なわがままだとちゃんと知っているけれど。それでも、エアリスは明るくて優しい彼にいつでも元気でいてほしいと願ってしまうのだ。
某1stとのお別れ後
話題に上ってる"親友"はもちろん、あの彼
[2007.10.27]